模型じかけのオレンジ

模型制作記を中心に、趣味の工作関連、車、オートバイ、その他色々についてロサンゼルスの生活事情と合わせて綴っています。

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とんぼ玉の簪を作りました (依頼制作)

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 こんばんは。

 

 少し前の話です。

 私が作るトンボ玉を気に入って下さった方から、制作依頼を頂きました。

 有難い話です。

 その内容は、とんぼ玉単体では無く、とんぼ玉を使った簪(かんざし)を作って欲しい というものでした。

 連絡を頂いてから、具体的な制作の要望を伺ったところ、とんぼ玉に関する指示を最初に頂きました。

 依頼主は赤い玉をご所望です。

 うーむ。

 実はブログでも過去に滅多に赤い玉は登場していなかったのですが、実は上手く色を出すことが出来ず、ちょっと苦手な色だったのです。

 もともと青が好きなので、どうしても青い玉を焼くことが多くなってしまい、ついつい赤を上手く焼く練習をしてきていません。

 やはりこれは ちゃんと赤も練習せんとあかんよ というお告げなのか と赤色集中修行が始まりました。

 と同時に、軸の部分も仕様を決めないといけません。

 プラスティック製の簪パーツというのもストックしているのですが、せっかくの依頼なので軸は木の削り出しで作ろうと思い、依頼主に塗装にするか木の色を活かした方が良いか訊いてみたところ、返答は 「ぶっちゃけ軸には希望は無い」という予想外のもの。

 どうも木製という事にも余り興味が無い様だったので、だったら逆に木製品が好きになってもらえるように、色や手触りに木を思いっきり感じてもらえる仕様にしてみました。

 形は普通のテーパー状では無く、切り出しでゴジゴジ削って流木や古木をイメージする様な形に形成し、後はペーパーで磨きます。

 磨きはツルツルピカピカにするのではなく、スベスベな手触りにしたかったので、丁度良い塩梅を探ります。

 表面処理が終わったら、いつもならステイン+クリアコートでフィニッシュなのですが、木の質感を存分に味わえるように、初めてオイルで仕上げました。

 木材は栗で、仕上げは着色もせずにオイルのみです。

 直接身に着けるものなので、アレルギー反応が出にくい(と思う)ホホバオイルをベースにユーカリのオイルを少量足した物を木製の軸にタップリ塗って、完全に染み込んだらまた塗って というのを何度も繰り返します。*1

 これ以上染み込まない と言う所まで繰り返したら余分なオイルを拭き取り、ウエスで磨き込みます。

 欲しい手触りが出てきたところで軸は完成。

 

 とんぼ玉は、色々な方法を試して、あーだこーだと試行錯誤した結果、何とか赤色を出せるようになりました。

 柄はもういい加減見飽きたかもしれませんが、いつもの流水+引っ掻きの流し玉です。

 玉が焼けたら軸に固定すれば完成です。

 納期に意識が持って行かれていたので、途中の写真が全く無く、梱包する前に完成写真だけは撮っておきました。

 

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 写真では分かり難いですが、軸には色んな方向からオフセットを付けているので、少し捻じれが入っている感じになります。

 

 とんぼ玉。

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 とんぼ玉は穴が貫通しているので、天辺を塞ぐのだけは市販のパーツを使いました。

 これはレザークラフト用のリベットです。

 

 

 写真を撮るにあたって、簪スタンドも作りました。

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 四角く切った木片に真鍮線を曲げたアームを取り付けて、簪をセットする窪みを彫っています。

 ところが。

 納期前、ギリギリに考えてババッと作ったので、予想通りの働きをしてくれませんでした。

 そーっと簪を立て掛けて写真撮影には使えましたけど、実用性は全く無いです。

 使っていない時に収容スタンドとして使えるような物を作り直さないといけませんね。

 

 

 簪はとても喜んで頂けた様で心底ホッとしました。

 それだけでなく、改良点のアドバイスも頂き、今後の制作にとても参考になりました。

 ほんとうに感謝しかありません。

 

 

 自分では基本技術をかなりしっかりと繰り返し練習してきたと思っていたのですが、それよりももっと基本の練習がある事が分かり、現在、とんぼ玉の制作は もう一度 基礎の基礎に戻って一から修行をやり直しています。

 改めて何の柄も入れない単色の玉を焼くことも新鮮で、シンプルさ故に今まで気が付かなかった自分の問題点を見つけることも出来て、とても楽しいです。

 今はまだ山の麓でウロウロしていますが、今回の人生で1ミリでも上に行く為にも、このタイミングでこういう機会が持てた事はとても運が良いと思います。

 ガラスの世界に少しだけ深めに足を踏み入れた様です。

 自分を取り巻く環境も、それを助けるために動いている。

 そんな風に感じる今日この頃。

 これからどうなるのか、楽しみです。

 

 

 

*1:ホホバのみでも良かったのですが、ユーカリにアレルギーが無いのを依頼主に確認してから香り付に使用しました。