こんばんは。
このブログはアクセスの殆どがGoogle やYahoo からの検索になっているようです。
ということは、ほとんどの方が初めて立ち寄って下さった方でリピーターの方は少ないということですね、多分。
今日の内容は、タイトル通り 珍しくおススメ記事になりますが、検索で初めて来られた方で私の事を全く知らないと、ちょっと鬱陶しいというか、暑苦しい内容になってしまいました。(いや、知っていても鬱陶しいと思いますが、、、)
大幅に文字数削減したものの かなりの長さなので2部構成にして、いつも星を付けてくださるような方は、うっかりそちらに流れていくようになっています。(なんだか恩を仇で返すようなひどい話ですね)
さて。
音楽が好きでよく聴く方なら、お気に入りのアルバムが何枚かあると思います。
私もお気に入りのCD 沢山あります。
その中には昔のレコードがCDになって再販されている物も沢山あって、ターンテーブルを手に入れたら 真っ先にこのアルバムを買いなおそう と思っている物がありました。
それはこちら。
じゃーん。
名盤中の名盤、Waltz For Debbyです。
映画 「大停電の夜に」でこのアルバムが結構重要な役割を担っていますので、聴いたことは無くても そちらでこのアルバムを見た事がある方もいらっしゃるかもしれませんね。*1
タイトルに ジャズをほとんど聴いたことが無い人におススメ と書きましたが、それは ジャズを聴いたことがある人で、このアルバム(もしくはタイトル曲)を知らない人は殆どいないんじゃないか というくらい有名なアルバムだからです。
なので、このアルバムの事を書くと、何をいまさら?? とか、へ、その程度の事わざわざ書くような事? みたいになってしまいますし、それこそ(BillEvans)研究家も多く、書物も沢山出ているくらいなので、公の場で私みたいなのは書くことすら憚られるのです。
とはいえ、ほとんどジャズを聴かない人なら、これを聴いたことが無い人も居るでしょうし、ジャンルを問わずなんでも広く浅く聴く私だから書けることもあるか と思ったので、余計な蘊蓄は無しにしてアルバムを紹介させて頂きます。*2
Waltz for Debbyは、たぶん私が初めて曲とミュージシャンとアルバムを意識して聴いたジャズだったように思います。*3
それまでは誰ともなく編集物なんかを聴いていたのですが、タイトル曲のWaltz~を初めて聞いた時、なんて淡く美しく綺麗で儚く繊細で切ない曲なんだ、、、と一度聴いただけですっかりやられてしまいました。
Jazzをほとんど聴かない人の中には、Jazzって聴いてみたいけどよくわからない という方もいらっしゃると思います。(私は大して詳しいわけではありませんが、実際、時々そういう事を言われます)
Jazzの大きな特徴の一つにインタープレイ*4がありますが、これが曲者になっていて分かりにくくなっている というのが理由の一つではないか と思います。
オリジナルのコード進行が頭に入ってると、どれだけ崩したメロディでも(脳内の)バックで流れる原曲にそれを被せて楽しめたりしますし、初めての曲でもミュージシャンの会話として聴くとそれはとてもエキサイティングなものです。
しかし、あまりにもインタープレイが長かったり、原曲の面影すらなかったりする場合、聴きなれていないと いったいどんな音楽?というか、これって音楽??よくわからん となるような演奏もあったりするかもしれません。
そもそも楽器で会話ってなによ? って感じですよね。
そこでこの一枚!
全編わりとシットリ目の曲が多く、メロディ部分とインプロ部分がちゃんと分かれている曲が殆どなので、わけわからん という事にはならないと思います。
Rock系の音楽でも、曲の中にギターソロパートが入ることが多いですが、それと同じ様なものと思ってください。
スタンダードな曲も多いので この曲、なんか聴いたことがある というのもあるでしょう。
とにかく曲も演奏も、ほんとうに綺麗。
そういう意味でとても聴きやすい癒し系の音楽でもあると思います。
それに、このアルバムで忘れてならないのが全編に入ってる雑音です。
音楽的には雑音なのですが、ライブハウスでのレコーディングなので、とにかく色々な音が入り込んでいます。
グラスを片づける音、店内のお客さんの空気。。。
この生活音のような雑音が作り出す何とも言えない雰囲気も味わう事が出来ます。
レコードで聴く人は少数派でしょうし、大抵はCDで聴くと思うのですが、その場合一つだけ個人的に これはどうかなぁ と思っている事があります。
ただ、これはCDによっては関係ない事だとは思いますが、私の持っているCDのトラックリストを見てください。
レコードのトータルの再生時間はせいぜい30-40分くらいなので、CDだと時間が余り過ぎてしまう為か、ボーナストラックが沢山入ってるのです。
それ自体は良いのですが、問題は順番。
中盤、同じ曲が2回ずつかかるので、アルバム通しての流れが阻害されている様に思います(私には)
レコード未収録テイクが入ってるのは資料的にとてもありがたいのですが、できれば最後にまとめるとか、して欲しかったかなぁ。
気になるのなら面倒でも自分で毎回プログラムするしかないですね。*5
さて、私が買った再販レコードにも、オリジナルには入っていないボーナストラックが一曲入っています。
B面最後に入ってる 「I Love You, Pogy」
オリジナル派からしたら余計な一曲かもしれませんが、私はこの一曲の働きは大きいと思っています。
もともと好きな曲 というのもありますが、曲の最後の方でお客さんの女性の笑い声が入っています。(例の雑音ですね)
それが、けっこう豪快に録音されていて、なんだかこっちまでちょっと微笑ましい気持ちになるんです。
夜寝る前にこのアルバムを聴くと、ゆったりとした最後の曲と一緒に、だれかの笑い声を聴いて、それから眠りにつく 事になるのです。
人の笑い声って、聞けばこっちも楽しく穏やかになりませんか?
私的には、ほとんどジャズを聴いた事が無い人におススメしたい と同時に、就寝前におススメしたい一枚でもあります。
最初に、聴きやすい という事を強調しましたが、このアルバムの凄い所は 一度聴いて良いな と思えるくらいキャッチー(という言葉が適切かどうかは分かりませんが)なのに、何度聴いても、いつまで経っても、聴くたびに毎回同じ感動を与えてくれるという事だと思います。
それどころか、他に色々なJazzのアルバムを聴いてまたこのアルバムに戻って来ると、新しい聴き方ができる というか、違う角度から改めて凄さが分かるというか、、、噛めば噛むほど味が出てきます。
初めて聞いたときからずっと、褪せることなく毎回感動しています。
もしも、Jazzってものに興味はあるものの、何処から入ったらいいのかな?と思っているのなら、先ずは試しにいかがでしょう?
彼はもともとClassicからJazzに移行してきたピアニストで、自宅では晩年までクラシックを、特にラフマニノフやスクリャービンなどを好んで良く弾いていたそうです。*6
勿論理論は全く違いますが、どうしてもテンションを聴くとムゾムゾ落ち着かない とかでなければ、Classicが好きな方にも合うのではないかな と思います。
本当に穏やかな気分になれるこの名盤、いつか機会があれば聴いてみてください。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
さて、、、
星を残そうと思ってスクロールしてくださったあなた。
ありがとうございます。
残念ながら、ここから第2部に入ります。
そうなんです、いつも長くて読むのが大変でしょうけど、今日は更に続くのです。
まだまだ続くので、後半は時間のある時に読むか、この際読まずに一気に下までスクロールしちゃってください。
このWaltz for Debby。
ずっとCDで聴いていたので、アナログならどんな感じなんだろう と聴いてみたかったのが、レコードが届いてようやく叶います。
このレコードは今でもAmazon.comで普通に新品で購入できます、送料込みで$15くらい。
意識していなかったから知らなかったのですが、今でもかなりの種類のレコードは普通に販売されているんですね。(しかもCDよりは高いとはいえ思ったよりも安い)
いや、うれしいな。
どんな風に印象が変わるのか、たのしみだ。
一曲目はMy foolish heart。
いざ。(針を落とす)
・・・・・。
・・・・。
・・・ぶ、ぶふぁーーーっ!
びっくりしたー、もってかれたーーー!
あー、いきなり身動き取れなくなった、、、
新手のスタンド攻撃かと思った、、、*7
これは冗談じゃなく、本当に初めてレコードをかけたとき、一曲目がはじまった瞬間に椅子に座ったままピクリとも動けなくなって、曲が終わるまでそのまま聴き入ってしまいました。
出だしから、ピアノの生々しさは勿論のこと、余りにも自然にピアノに溶け込むようなベース、シンバルの抜けるような高音は、スピーカーがそこにある事を忘れてしまうくらい、音が自分の前の空間を漂っているようです。
前半で書いた「雑音」も、楽器たちの音とは別の距離感が感じられ、より一層多くの音が聞こえる様です。(実際に聞こえているのかどうかはわからないのですが、、、)
雑音の中でも近い雑音に遠くの雑音、とても空間を感じます。
それも含めて本当に当時のライブハウスに持って行かれてしまったようでした。
なんじゃこれ。
ここまで違うとは思わなんだ、、、
最初はWaltz~が好きで聴き始めたこのアルバム。
昔はMy Foolish~はちょっとスロー過ぎてそこまで入り込めなかったのですが、歳を取ったせいなのか、一曲目のこの曲がかかると部屋の雰囲気まで変えてしまうような穏やかな、周りから包み込んでくるような感じにスゥ~~~っと心が落ち着きます。
いや、この曲はいいなぁ と思ってるとすかさず2曲目のWaltz~がはじまるのですが、、
毎回、ほんと、何度聞いても毎回、イントロ無しのAメロから始まるこの曲の最初の音5つ聴いただけで、ぁあ~もぅ と毎回、どんな状況で聴いてもゴッソリ持ってかれます。
たったの音符5個分、長さも一定のたった5音なのに。
その5音をそこまでの名曲に予感させるのは、その5音にカンターラインを入れてくるベース。
そのベースラインは椅子ごと後ろにひっくり返りそうになるくらい、何でこんな音を当てられるの!? という絶妙なライン、ありえん。
多分この先一生何度聴いても毎回やられるんだろうなぁ。
い、いかん、つい、、、
このペースで行くと全部終わるのにどれだけかかるかわからないので、私の感想はこれくらいにしておいて。
レコードで聴きなおしたので、そこを強調しましたが、CDもとても臨場感のある良い音です。
聞き比べなければ違いは分からないので、レコードの事は無視してください。
この御時世、タイトルをコピーして検索をすれば幾らでも音源を探すことが出来ると思います。*8
もしも一度も聴いたことが無い という方は、一度聴いてみてください。
音楽の好みは人それぞれなので、合わない事もあると思いますが、もしかしたら唯一無二のBillEvansのピアノに出会うきっかけになるかもしれません。
最後に余談。
彼はこの名盤の録音のあと、とんでもなく大変な事に巻き込まれます。(という言い方が適切かどうかは分かりませんが)
その後、彼がどういう人生を歩んでいくか を知ると、彼のピアノの音が変わるかもしれません。
そういう意味では、もしかするとWaltz for Debbyは彼が穏やかにピアノを弾いている最後の録音なのかもしれないですね。
勿論、そんな事は本人以外知る由も無いので、ひたすら音楽に没頭していただけかもしれませんけど。
恐ろしい事に彼についてのドキュメンタリー映画があるのですが、私はまだ観ていません。
手元にはあるのですが、、、
観たらやばそうだから、なかなか観られないのです。
予告編を見ただけで涙腺決壊したくらいなので。
でも、いつか見よ。
心の準備をしてから。
とはいえ、日本ではこの人の様な生き方にアレルギーがある人も居るでしょうから、私のように思わない人も多いのでしょうね。
余談其の二。
CDとレコードを聴き比べて違いにびっくりした私ですが、これは本当にそんなに違うのか?もしかして暗示にかかってるだけ?(単純な性格なので)と思い、やめとけばいいのにレコードの音質について調べてしまいました。
そしたら驚愕の事実が!
考えたらわかる事ですが、レコードは型押しで作られているので、古いもの(最初にプレスされたもの)の方が音が良いらしいのです。
ガレージキットと同じ理屈ですね。
レコードの世界に入ったばかりなのでそんなことも知らなかったのです。
ある程度の数をプレスすると、型を作り直して重版となるみたいなので、本で言う所の初版が一番音が良い と一般的にはされているそうです。*9
Waltz for Debbyで言えば、1961年にアメリカでプレスされたモノラル盤が一番音が良いらしいのです。
私的には この現行レコードでもこれだけ音が良い(と思う)のに、これ以上の音ってあるの?と思ったのですが、どこを見ても1stプレスのmono盤の音は別格 という人ばかりです。
まじかいな と思い、行きつけのレコード屋さんの店主 Earvingに聞いてみた事があります。
この前、Amazonで買ったWaltz~のアナログ盤を聴いてみたけど、CDと全然違ってビックリした。
「おー、そうか。そらCDとは別物やろ。あれは元のレコーディングが良いからなぁ」
しかし1stのmonoは別格らしいって聞いた。
EarvingはWaltz~の1st、持ってる?
「持ってるよ」
げ! 持ってるのか!
でどう?ほんとに違う??
「違う?って、ぜんっぜん違うわ。あれは素晴らしいぞ」
という事でした。
まじか、、、
聴いてみたい!
というわけで、それ以来探していますが、コンディションが悪いものを手に入れても意味が無いので、気長に良い出会いがあるまで貯金しながら待つしかないですね。
いやー、レコード怖い、、、
あ、なにやらThe Beatles のオリジナルのmono盤(勿論本国盤)も音が全然違うらしいです。
うーん、やばい、、、
はぁ、既に持っているお気に入りCDも徐々にレコードに買いなおしていくことになりそうです。
私はオーディオ沼にはハマらないだろう と思いますけど、、、レコード沼にはハマってしまいそうです。
これで本当に終わりです。
ほんとに好きな事について書くと大変ですね。
なんとなくそんな気がして、今まで触れてこなかったのですが、やっぱりまったく収集が付かなくなる事が分かりました。(これでもかなり削ったのです)
まだ他にも大好きな本命が残っているのですが、さらに大変な事になると思うので 暫くは触れないようにします。
もしもほんとに全部読んでくださった方がいらっしゃったら、本当にお付き合いくださってありがとうございました。
Bill Evans、まだまだいいアルバムが沢山あります。
彼以外にも、これからも たまーーにお気に入りのアルバム紹介が出てくるかもしれませんが、次はこんな事にならないようサラっと流せるようにしますので、またお付き合いしてくださったら嬉しいです。
*1:収録曲の「My foolish heart」が劇中で取り上げられています。確かDVDのメニュー画面でもそれが流れていたと記憶します。全体として繋がりのあるオムニバス形式のとても好きな映画です。
*2:実はこれを書いたのは何か月も前だったのですが、怖くてなかなか更新できませんでした。(笑
*3:フュージョン系はずっと以前から聴いていましたが、モダンなんかではこれが最初だったと思います
*4:インプロ(インプロビゼーション)、即興演奏
*5:このアルバムはとにかく色々なVer.があるので、それぞれ曲順や曲数は違うものがあると思います
*6:Bill Evansのラフマニノフやスクリャービンとか、、、聴いてみたかった、、、。泣けるやつだ、絶対。
*7:さしずめスタンド名はVillage Vanguardとか?(笑
*8:同時に色んな人が弾いているWaltz for Debbyも引っかかってくると思いますけれど、やっぱり本家は別格です。
*9:この型を作り直すというのがまた曲者で、ひどい時には先にプレスされたレコードを元に型を作ったりすることもあるらしく、そうなるとレコードにある傷もそのまま復元されたりするそうです。