こんばんは。
私が体験した車両盗難事件も今回で最後、240Zを引き取りに行った時の話です。
なんだか最終回が一番長い話になってしまいました。
すいませんがボチボチ読んでください。
LAダウンタウンで240Zを発見した とLAPDから電話があった次の日、出勤してMさんにそのことを報告すると同時に、次にどうすればよいのかを訊きました。
先ずは昨夜の電話で教えられた番号に電話をすれば分かるだろう 言うことになり、Mさんにお願いして電話をかけてもらいました。
暫く説明を聞いてから電話を切り、彼が要約して説明してくれたのですが、内容は ちょっと理不尽な気がする内容でした。
240Zが発見されたのはLAのダウンタウンで、そのまま警察の管轄化にある保管場にレッカー移動されているので、そこに引き取りに行かないといけない と言うことでした。
その保管場もダウンタウン近辺にあるようで、職場からはフリーウェイを使ってそこそこ時間がかかります。
そこまで行って、車を乗って帰ってこないといけないので、誰かに頼んで乗せて行ってもらわないといけないことになります。
受け付けは7時には閉まるから、それまでにダウンタウンまで行かないといけない と言うことは渋滞も考えると6時にこちらを出ても状況によってはギリギリ と言う感じです。
これは当時の私には結構厳しい条件です。
と言うのは、当時働いていた会社にビザのサポートをしてもらってアメリカで生活できる権利を得ていたので、その会社を首になると合法的にアメリカで生活することが出来なくなります。
だから、と言うわけではないのですが、暗黙のなんとか、、、でビザサポートをしてもらっている日本人は毎日残業の日々で、12時間労働は普通、遅いときは16時間くらい働く毎日でした。(今はその会社もそんなことはしていないそうです。)
ですから、その前後で相当無理して仕事の段取りを立てないと6時にこちらを出て車を引き取りに行くことは難しいです。
そんな状況だったので、同僚に一緒に早く終わって乗せて行ってもらう と頼む事は申し訳なくて出来ません。
Mさんの説明を聞いていると、更に厳しい話になってきました。
その保管場に車を預けていると、毎日保管代がかかってしまうらしいのです。
しかも、一日の代金はそこそこ高額だったような気がします。
一泊$60くらいだったかな?もしかしたら全然違うかも知れませんが、当時の私の給料から考えると、一日遅れるごとに加算されると、かなりキツイ金額だったと思います。
昨夜発見されて一晩過ぎたので、すぐ取りに行っても一泊の代金は取られるそうです。
なんで車を盗まれた人がそんな代金を払わないといけないの???? という気持ちで一杯になったのですが、何とかしないとドンドン支払額が上がってしまいます。
連れて行ってくれる人も探さないと行けないし どうしよう と考えて、先日240Zを預けたショップで友達になったメカニックの一人であるT君に電話をしてみました。
まだ職場の同僚以外で頼める人といえば、そのメカニックの二人しか居なかったんです。
ただ、まだ知り合って間もない間柄で、結構面倒な頼みごとをするのはとても気が引けました。
が、他に頼める人は居ないので思い切って電話をして頼んで見ると、快く了解してくれました。
たすかった、本当に感謝です。
Mさんも状況を理解してくれているので、段取りがついたらいつでも終わっていいよ と言ってくれたものの、実際に段取りを立てるのは自分なので、最低限やらないといけないことを片付けて、後は明日残業してなんとか出来るところまで持って行き、T君と待ち合わせた場所に大急ぎで向かいました。
T君も車の発見をとても喜んでくれて、色んなことを話しながら車両の引渡しの場所に向かいました。
なんとか時間までに教えられた住所に到着して、受付の人にこちらの情報を伝えると、すぐに話は通りました。
が、ここでまた え??? と言うことが起こります。
受付の人から「じゃ、この書類を持ってここにかいてある住所のところに言って車を確認してもう一度来て下さい」 と言われました。
一瞬何の事だか分からなかったのですが、一緒に言ってくれたT君がもう一度聞きなおしてくれたところによると、受付の人が言うには 車の保管所というのはLA近辺に何箇所もあるらしく、それを統括しているのが私たちが今居る建物だ と言うことでした。
そこで、車の所有者である事を申請して証明書のような物をもらってから、実際に車がある場所に行って、その車を引き取るかどうかの決断をして、また統括センターに戻ってきて、車の宿泊代を支払って、また保管場所に戻って車を引き取る と言うなんともややこしい手続きが必要である事も分かりました。
なぜ引き取るの前に、わざわざ確認しに行って、また帰ってきてから保管料を支払うかと言うと、発見されたものの状態によっては車を引き取らない人も居る からだそうです。
手続きの手順は分かりましたが、そうなるとまた問題が出てきました。
到着した時点で統括センターの営業時間終了間際だったので、これから保管場に行って、確認して戻ってくる時間はありません。
となると、今日は確認のみ、もしくは既に保管場が閉まっていたら確認も明日以降になり、保管料は加算されるわ、もう一度誰かに連れて来てもらわないといけないわ と大変です。
困ったのですが、そんなに時間も無いので どうするか決断しないといけません。
そこで、受付の人にまた質問してみました。
「どっちみち引き取るつもりだから、確認無しで今日保管料を支払って明日引き取ってもいいの?」
なんかこっちも無茶な様な気もしますが、なんとか無駄な出費を抑えたかったのと、どういう状態でも引き取るつもりだったので、最低でも手続きは今日済ませてしまって、引き取りに来る方法は後で考えよう と 取り敢えずの駄目で元々 ときいてみたのです。
受付の人は暫く考えているようでしたが、「どんな状態でも必ず明日引取りに来るのね?」と何かいけそうな感じです。
「はい、取りに来ます。」
「一旦サインしたら、車がボコボコになっていてもキャンセルできないからね。絶対に明日ひきとってね。」
と、書類を出してくれました。
Yes! と心の中でガッツポーズを決めたものの、次は明日の段取りを考えないといけないです。
既に今日仕事を残してきているので、二日続けて仕事を早く終わるのは無謀な計画です。
さて、どうしよう と思っていたら、T君が凄い提案をしてくれました。
「オレンジさんは明日は何時から仕事?」
「8時からだけど。。。」
「じゃ、朝早起きして保管場が開くと同時に引き取ってすぐに仕事行けば間に合うんじゃない?明日も付き合うから朝迎えに行くよ。」
T君に後光が差しています。
保管場の営業時間は統括センターで聞いて(確か)朝7時から開いているというのは分かっていたので、2日も続けて、しかも朝早起きまでしてもらうのは本当に気が引けたのですが、他に方法は浮かばないと思ったので 再びT君の助けを借りることにしました。
帰宅後、マネージャーのMさんに電話で状況報告をして、もしかしたら朝少しだけ遅れるかも知れない事を知らせて、次の日に備えました。
次の朝、確かまだ暗かったように思います。
そんな早朝にT君が迎えに来てくれて、再びLAに向かいました。
保管場に着いて書類を提出して暫く待っていたら、職員の人が私の240Zのところに案内してくれました。
一体どんな状態なのか、ものすごくドキドキ緊張しながら後について行くと、見覚えのある青い車体が見えてきました。
近くに行って見てみると、なんと奇跡的に殆ど変わらない状態で停まっていました。
気が付いた点と言えば、外見ではライトカバーが無くなっている位で、後はぶつけられた後もないし、目立つ傷もありません。
乗ってみると、元々付いていたカーオーディオが取られて、安物に変わっていました。
おそらくカバーとオーディオは金になりそうだと言うことで売られたのでしょう。
しかし、数ヶ月間どこに行っていたのかは分かりませんが、良くもまぁ無事で居てくれたものです。
エンジンをかけようとして、ビックリする事に気が付きました。
買い物に行って盗難にあっているので、鍵は自分が持っています。
なのに、エンジンをかけようと思って鍵を挿そうと思ったら、、、何故かキーシリンダーにはキーがぶら下がっています。
え? なんで??? と思い、ドアを見てみると、ドアを開けるときにはロックされていなかったので気が付かなかったのですが、ドアロックのキーシリンダーもダメージはありません。
どうやら、Zを盗んだ人はマスターキーのような物を持っていたようで、その鍵でドアもロックできるし、エンジンもかかりました。
ともかく、そんなに時間の余裕も無いので、手続きを終えてT君にお礼を言ってそのままZで会社に向かいました。
再び240Zとのカーライフが始まりました。
無事にその日は出勤できて、ヒーヒーいいながら仕事を終えて、家に帰りました。(会社では皆からビックリされたり、良かったなぁ と声をかけられたり と大変な騒ぎになったことは言うまでもありません。)
帰宅して改めてZを良く見てみると、本当にほぼ無傷、内装も痛めつけられた箇所も無いように思いました。
後ろのトランクルームを開けてみると、なんだか荷物が色々と載っています。
なんだ? と思って見てみると、なんと 洗車道具や、ホイール磨きなど、カーケア用品や、他にもジャケットや、家の鍵らしきキーホルダーなんかも出てきたりしました。
実は、最初にMさんが電話で問い合わせたときに、ちょっと情報を得ることが出来たのですが、Zはダウンタウンにずっと放置されていたと言うわけではなく、どうやら盗難した犯人が第3者に転売したようで、その第3者はそのまま自分の車として数ヶ月間乗っていたらしい と言うことでした。
私のZにはEnkeiのメッシュホイールが付いていたのですが、どうやら磨いてくれていたようです。
多分、その人はとてもこのZを気に入ってくれて、大事にしてくれていたんでしょう。
もちろん、名義変更などしていない訳ですから、その人もこの車が盗難車だと薄々感づいて居たかもしれませんし、そういう取引をする人が居るから、車を盗んで売る人も無くならない ということになります。
そういう意味では犯罪に加担した と言えなくも無いでしょう。
それでも、なんかその人を悪く思う事は出来ず、次の日出勤したときにMさんにそのことを話し、その人の荷物を返すことは出来ないか LAPDに電話してもらいました。
Mさんはかなり変な顔をして、なんでわざわざそんなことを? と言いながら一応電話してくれたのですが、そういう事は出来ないから荷物はそちらで処分するように ということでした。
確かに、ちょっと聞けば車を盗まれたのに、なんで相手の荷物の心配をするのか、と言う話ですが、発見された場所が場所だけに、盗んだ人、もしくは、それを買った人によっては、Zは犯罪に使われていたかも知れない、、、たとえば、強盗に使われて、警察追われて逃げている途中に電柱に激突、廃車 となったり、ギャングの抗争に巻き込まれていればマシンガンで蜂の巣になった状態で放置されていたかも知れません。
私のZを買った人が大事にしてくれたおかげで、またZがある生活を送れる と思ったら、その人に感謝です。
結局、かなり色々ありましたが再び240Zは私の所に戻ってきて、盗難に会う前に予定していた通りの車のある生活が始まりました。
なんだかえらい遠回りになってしまいましたが、とにかくいろんな人に助けられました。
T-Birdを世話してくれたA君も、引き取りに連れて行ってくれたT君も、どちらも今でも友達付き合いが続いています。
そういえば、初めてラスベガスとグランドキャニオンに行ったのもこの二人との男3人むさい旅でした。(これまたえらい珍道中でした)
夜な夜な車探しに行くのに車を貸してくれたY君と食事に行ったときとか、たまーーーーに彼もそのことを思い出して話に出る事もあります。
「Zが盗まれたとき、絶対出て来ーへんって思ってたのに、オレンジは絶対出てくるって言い続けてたよなぁ。周りの人全員出て来ーへんって言ってたのにな。まさか出て来るとは、ほんま思わんかったわ。」(彼も関西の人なのです)
その事があって後、ほんの少しだけ彼も「強く思っていると、少しずつそっちの方向に向かう 見たいな事があるんだ」 と思うようになった、と最近言われました。
今回のエピソードに出てきた Y君、A君、T君の3人ですが、実は共通点があります。
いつも240Zを直したり、乗りまわしたり、イベントに参加したりしている私がほんとに楽しそうだったから、、、かどうかは分からないのですが、後に3人とも240Zのオーナーになっています。
残念ながらY君とT君は既に手放してしまいましたが、Y君はもしまた機会があれば、もう一度240Zを手に入れたい と言っています。
私の240Zは、その後かなり色々と仕様変更を繰り返し、今現在は昨年の下あご粉砕骨折の為、フロントは純正仕様に戻っています、が、色が合っていないので可哀想な状態です。
でもって、先週から更なるちょっとしたトラブルが出てきたので、現在はカタナから240Zの作業に移っています。
それが記事になるかどうか分からないですが、近いうちにその後のZの事もアップするつもりです。
と言う訳で、色々とあった盗難事件の話はこれで終わりです。
まさか最後にこんなに長くなるとは自分でも思いませんでした。
だらだらと長い文章をここまで読んで下さってありがとうございます。