模型じかけのオレンジ

模型制作記を中心に、趣味の工作関連、車、オートバイ、その他色々についてロサンゼルスの生活事情と合わせて綴っています。

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割れたビンテージ・ワイングラスの修繕。 (依頼修理)

 こんばんは。

 

 先週末、突然の真夏日で32度まで気温が上がった という事を書きましたが、その後はまた急に冷え込んで来て、夜には暖炉を稼働となってます。

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 いったいどうなってんだ。

 ほんと、対応するのが大変なので、もうちょっと落ち着いて欲しいものです。

 

 

 先日、ちょっと頼まれごとをしました。

 「オレンジさん、ガラス細工をやってるんですよね?」

 「はい」 

 「だったら、ちょっと直してほしいものがあるのだけど。」

 「え?ガラスのものなのですか?」

 「ワイングラスが割れちゃったんだけど、なんとか直してもらえませんか?」

 いやいやいやいや。

 ガラスを使うとは言うものの、割れたグラスを直すのは無理ですよね。

 ガラスというのは混ざり物によって膨張率が大きく変わります。

 仮にガラスを足すとなると、その膨張率を合わせないと、冷えた後で歪みが出て割れてしまいます。

 その時は大丈夫でも、歪みはずっと残るので、数か月後に割れる事もあります。

 

 しかし、新しいグラスを買い直せば良いのに、何故にその方は私に修理を依頼しようと思ったのか。

 そのグラスはビンテージのワイングラスで、鉛ガラスで出来ていたのです。

 アメリカでは今は鉛ガラスを使った食器類は販売しては行けない事になっているので、既に流通している物しかやり取りされていません。

 鉛ガラスのグラスはとてもいい音がするので、ワイン愛好家に人気がある様なのです。

 

 とはいえ。

 壊れたガラス食器を直すなんて、ガラスを使って工作をしているとはいえ、趣味でちょこっと使う程度の素人に出来るとは思えません。

 丁重にお断りしたのですが、このままではどのみち捨てるしかないので、見るだけで良いので、、、 と言われるので、一応見せて頂くと、、、

 割れたのはカップの部分では無く、ステムが折れていました。

 オーナー曰く、そこを溶かして繋いで欲しい という事です。

 しかしよくよく寸法を聞いてみると、折れただけではなく、だいぶ欠片が無くなっていて延長もしないといけない様です。

 どちらにしても、迂闊にガラスを火にかけると、一気に破裂 というリスクもあるので、お断りしようと思ったのですが、とにかく一度持って帰って欲しい と強く頼まれました。

 とてもお世話になっている方だったので、そこまで言われると何とかしたい という気も出てきたので、一旦持ち帰る事にしました。

 

 しかし、、、

 持って帰っても状況は変わりません。

 グラスを火にかければクラックが入るかもしれませんし、思ったよりも融点が低く、突然ドゥルっと溶けてしまうかもしれません。

 一旦ここは発想を変えて修理の方向を変えることにしました。

 修復しないといけないのはステムなので、別の材料を使って繋いでみたらどうかな と思いつき、アイディアを依頼主に相談してみました。

 すると、依頼主もそのアイディアを気に入って、こちらに任せてもらえることになりました。

 

 折れた部分を繋ぐ材料は銅を選びました。

 柔らかい金属なので加工がしやすく、磨けばきれいな色に光るので、うまく行くような気がします。

 今回の修理は頼まれ事の上、かなりの壊れもの注意な案件だったので、作業過程の写真はありません。

 作業内容は、ステムの一番細い部分(カップ側)に合わせた内径の銅管を用意して、下側はガラスに合わせてテーパー状に広げ、パイプに入るガラス部分に切り込みを多数入れてからエポキシで接着しました。

 

 ということで、いきなり完成です。 

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 実は写真を撮るのもかなりビクビクでした。

 自分はこういうグラスを使うこともないので、どれくらい慎重に扱わないといけないのか加減もわからず、作業中も常に緊張していて疲れました。

 

 修繕した脚の部分はこんな感じ。

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 下の方は末広がりにしてガラスに自然に移行するように加工しました。

 加工は手作業。

 専用の道具なんて持ってないので(果たしてそんな道具があるかどうかもわかりませんが)、ポンチや板金用のハンマーを使って、少しづつ広げて行きました。

 パイプの加工が出来たら研磨して、ピカピカにしてから接着しました。

 

 修理が終わり依頼主にお届け。

 ただ繋いだだけよりも、銅のステムになった事でカスタム感が出た ととても喜んで頂けました。

 

 

 もしも同じ様に壊れてしまったグラスをなんとか直したい となったら、一つのアイディアとしていかがでしょうか?