こんばんは。
この人生が終わるまでに何としても行きたいライブが何本かあるのですが、そのうちの一本に行く機会が遂にやってきました。
ブラジル出身のピアニスト/ボーカリストのEliane Elias*1のライブに行って来ました。
場所は久ぶりのCatalina Jazz Clubです。
このクラブも席は早いもん順なので、開場前に現地入りしてステージから2列目の席を確保しました。
今まで何度も来ているのですが、今回初めて演奏中の写真撮影が禁止されたので、今日はライブが始まる前に撮った写真のみです。
まだ殆ど観客は入ってない状態です。
ここはCatalina Jazz Clubと呼ばれていますが、Catarina Bar&Grillという別名もあって、席は全てテーブル席でミニマムオーダーが食事、もしくは2ドリンクとなっています。
ほぼど真ん中の良い位置につけました。
Eliane Eliasはブラジル出身のピアニスト・ヴォーカリストで、ジャンルはJazzですが、ボサノバやサンバなどブラジル音楽色が強いです。
なかなか南西海岸に来てくれないので、待ち望んでいた人も多かったと思います。
彼女がステージに出てきたときは、ものすごい拍手でした。
ライブは一曲目から、もうノリが凄い。
音楽は踊る為にある と言わんばかりの、身体が勝手に動き出すリズムのピアノです。
レコードやCDではよく聴いていますが、やはり彼女の生の演奏は見惚れてしまいます。
と、彼女が歌い始めたとたん、彼女の表情が曇りました。
一曲目が終わるとPAに モニターが効いてない と話していました。
自分の声が全く聞こえないらしく、本人も これでは歌えない と困った表情。(というか、明らかに機嫌悪そう(笑)
結局、モニターは復活しなくて、次の曲もちょっと歌いだしたものの、音が合っているかどうか分からないので、すぐに演奏を中断して客席に向かって
「ごめん、全然声が聞こえないから上手く歌える気がしない。おかしくない?大丈夫?」
と問いかけてきました。
客席からは一斉に だいじょうぶ~!などと声援があがり(実際歌も素晴らしいのです)、ライブは続行。
イリアーヌ・イリアスのピアノは勢いとノリがすごく、彼女もピアノに向かうと靴は抜いて裸足で弾いてました。
踊る様に弾くので、靴も邪魔だったのでしょう。(ペダル踏む時痛くないのかな)
私は彼女のピアノは勿論のこと、声も大好きで、女性ヴォーカリストの中ではトップクラスにお気に入りです。
ちょっと低めで軽くそよぐような歌い方がとてもリラックスできます。
バラードやボサノバを歌わせたら最高です。
ライブの中盤では、ブラジルで仲間が家に集まった時にリラックスして演奏するような雰囲気をみんなに味わってもらいたい と、編成を変えてこじんまりとしたセットでの演奏をしたり。
聴いてる間中ずっとニコニコが止まらない素敵なライブでした。
そうそう、誰もが聴いたことがあるだろうA.C.Jobinのスタンダード「Jazz Samba(So Danco Samba) 」を演奏したときは、客席は合いの手担当 という事だったのですが、いざそのタイミングになった時に今一つ客席から声が出てなかったので、首を振りながら演奏を中断して「ちょっとあんたたち、やる気あんの?全然だめ、やり直し!」といって演奏しなおすという場面もあり、姐御肌全開のイリアーヌ姐さんでした。
そしてこのライブ、実は私にはもう一つ、とても楽しみにしていたことがありました。
彼女の夫はベーシストで、今回のライブも勿論ベースを担当しています。
名はMarc Johnsonで、彼は Bill Evans最後のトリオのベース なのです。
このライブが決まった時、旦那は来るのか?とライブのメンバー情報が無いか探してみたのですが、なかなか発表にならず。
ピアノソロとかならベースも居ないので、登場するのか気になって仕方なかったのですが、しっかりいらっしゃいました。
とても物静かで、眼光鋭く、なんというか、、、寄らば斬る! という雰囲気でした。(実際のところは寄っても斬られなかった)
演奏を見た(聴いた)時は感動で目頭が熱くなりました。
ライブが終わり、イリアーヌ姐さんは一旦楽屋に入ってしまったので、Marc Jonson氏に話かけに行ったのですが、なんせ近寄り難いオーラを出しまくっていて周りには誰も居ません。(ある意味都合は良い)
彼に会うことが出来たらサインしてもらおうと思いレコードを持って行ってたのですが、彼のリーダーアルバムでは無かったので、失礼かな、とか、気分を害されるかな とか思いながら、恐る恐る話かけてみました。
レコードを手に取って暫く懐かしそうに眺めてから、裏にサインするね と言って、ご自身のクレジットの横に控えめに書かれました。
ほんとは色々とお話したかったのですが、もうどえらく緊張してしまって、ただただ感謝を伝えるので精一杯。(こんなに緊張したのは久しぶりでした)
最後は微笑みながらウインクして去っていきました。
うーん、かっこいい、、、
このレコードはBill Evansの後期のアルバムで、最後のスタジオレコーディング・アルバムになります。
ピアノトリオでは無く、ホーンも絡んでいる内容で、とても良いです、名盤。
ま、Bill Evansのアルバムに外れは無いのですけど。
しばらくしたらEliane Eliasも楽屋から出て来ました。
既に彼女にサインをもらおうと人が集まっていたのですが、どうやらペンが無いからちょっと待って と言っているようでした。
私はいつもペンは自分で持って行くので、ペンあるよ と声をかけたら、あら!じゃあ あなたから とレコードにサインをしてもらいました。*2
このアルバムは2021年にリリースされたのですが、21年に亡くなったChick Coreaとの連弾(2pianos 4hands)を収録したものです。
本当はアルバム通してChick Coreaとの連弾のはずだったのですが、彼の体調の悪化からレコーディングが困難になり、半分はChucho Valdesとの連弾になった と読んだような気がします。
裏を取ってないので確かでは無いですが、もしかしたらChick Coreaの最後のレコーディング音源?
連弾の様子はYouTubeにも動画が上がっていますが、Elianeの勢いが凄い。
Officialの動画なのですが、貼って大丈夫なのかな?
視聴は出来ればステレオ(ヘッドフォンでもなんでも)で聴いてみてください。
左はEliane、右はChick Coreaが聴こえます。
2分くらいからかなり盛り上がります(笑
レコードではSide1はChick Corea、Side2がChucho Valdesとなっています。
キューバ出身のChucho Valdesのピアノ、初めて聴いたのですが、とても良かったです。
彼のリーダーのアルバム、聴いてみたいです。(アメリカでは少々手に入りにくい)
そして、もう一枚、大好きなCDも持っていたのでそれにもサインをして頂きました。
Elianeはラテン系の音楽を演奏することが多いのですが、このアルバムはBill Evansの曲や彼が良く弾いていた曲を取り上げたアルバムです。
収録曲の中にはWaltz For Debbyも入っていて、前半は弾き語り、そこからトリオの演奏に移っていきます。
彼女のヴォーカル、ピアノ共に極上です。(特に前半は星空の下で聴くのがとても合いそうに思う)
このアルバムには私の大好きなBill Evansの曲「For Nenette」もElianeのソロで収録されているのですが、本家を除けば彼女のアレンジがベストです、素晴らしい。
是非アルバムを手に入れて聴いてみてください。
このCDにサインをしてもらいながら話をしていたのですが、その事もしっかり伝えました。
Bill Evansのピアノはリバーサイド4部作以降、後になればなるほど音が切なくなって来るのですが、Eliane Eliasが弾くBill Evansの曲はフワッと暖かく、陽なのです。
このアルバムもむちゃくちゃおススメです。
ずっといつか行きたい と思っていたEliane Eliasのライブ。
かなり期待して行ったのですが、それを軽く超えてくる素晴らしいライブでした。
とにかく観客が楽しんで、身体が動きたくてウズウズしてくるよう。
またあんまり間を開けずに西にも来て欲しいものです。
YouTubeで検索したら色々と音源が出てくると思うので、是非聴いてみてください。
そして来日公演があれば、足を運んでご機嫌になってください。(笑