模型じかけのオレンジ

模型制作記を中心に、趣味の工作関連、車、オートバイ、その他色々についてロサンゼルスの生活事情と合わせて綴っています。

*当ブログではアフィリエイト広告、Google AdSenseを利用しています

Chick Corea Elektric Band Live at Catalina Bar&Grill

 こんばんは。

 

 いつも一緒に音楽を聴きに行くTKさんに誘われて、Chick Corea Elektric Bandのライブに行ってきました。

 会場は、ハリウッドにあるCatalina Bar&Grillというバー・レストランです。

 ビルのテナントとして入っているので、入り口は裏手になり、目立つ看板も無いので、注意深く運転しないとうっかり行き過ぎてしまう様な所です。

 超大物のライブなので、余裕を持って開場の一時間ほど前に到着しました。

 私たちよりも先に来ていたのは10人程だったのですが、しばらくすると徐々に列が後ろに伸びていきます。

f:id:mata1:20160921162538j:plain

 このライブ会場はチケットに席の指定は無く、入場の順番に席に案内されるのですが、早く入れば良い席に着けるとも限らないのです。

 基本レストランなので、その日の最前列は3人テーブルだったとすると、いくら早くても2人組みや4人組だったらその席には案内されません。

 どういうテーブル配置なのか と、パーティーの人数によって席が決まるので、ドキドキです。

 開場まで列に並んで待っていると、後ろの方で歓声が上がりました。

 後ろを振り返ったTKさんが、「John Petitucciですよ!(Bass)」と教えてくれました。

 神様到着です。

f:id:mata1:20160921162446j:plain

 このライブハウスは裏口が無いので、ミュージシャンもお客さんと同じ入り口を通って会場入りします。

 なので、早く来て待っていると至近距離でミュージシャンと会うことが出来ます。(後述しますが、実は早く来なくても会うことが出来ます)

 John Petitucciはファンに取っては神様の様なベーシスト。

 そんなミュージシャンがフツーに自分でベースを担いで入ってくると言うのが、なんとも力が抜けて良い感じです。

 いつもJazz系のラジオを聴いているので、ChickCoreaは勿論知っていますが、有名どころを知っている程度で、恥ずかしながらTKさんに誘われるまでChickCoreaElektricBandは意識して聴いたことが無かったのです。

 TKさんから「予習しておくように」と言われて貸してもらったCDを聴き込んで、ライブに望みました。

  このライブで私が楽しみにしていた見どころは、スウィープ奏法というピッキング・テクニックの第一人者として有名な、Frank Gambale先生(Guitar)の演奏を間近で見られるという事です。*1

 すごく楽しみです。

 もう一つ、DrumのDave Wecklの演奏を見るのもすごく楽しみです。

 Dave Wecklは、セミプロのドラマーだったTKさんが神様と崇めるドラマーで、以前にも誘われてライブに行ったことがあります。

 その演奏は、それはもう素晴らしく、なんというか、叩き方に色気があるというか、それでいて触ると切れそうなくらい鋭く、まるで殺陣の様で、ずっと見とれていられます。

 それにKey(もちろん主役)のChickCoreaと、SaxのEric Marientalというメンバーです。

 

 さぁ、やっと開場です。f:id:mata1:20160920171453j:plain

 案内された席は真ん中の2列目(テーブルの)で、最前列では無かったですが、ライブを楽しむのにはベストの位置だった様な気がします。

 席に着いたといっても、開演まではまだまだ時間があるので、その前に腹ごしらえです。

 

 食事をしながらおしゃべりしていると、後ろからFrank Gambale先生が登場です!!

f:id:mata1:20160921162502j:plain

 (やはり、裏口が無いので、普通のお客さんと同じように入店してきて楽屋に向かいます)

  それから段々と開演時間が迫ってきたところで、入り口付近から大きな歓声が上がりました。

 ChickCoreaの登場で、場内大きな拍手です。

 彼は店内に入ってきたところで、私たちのテーブルの後ろにあった長テーブルで車椅子に座った女性にずっと話しかけていて、楽屋には入りません。

 誰か特別な人なんだろう、と話していたのですが、彼女が誰かは後日わかりました。

 

 時間になり、ライブは「Trance Dance」から始まりました! 

f:id:mata1:20160921165734j:plain

 一流のJazzミュージシャンが揃うライブなら、そうなるのはわかっているのですが、やっぱり一発目の音から、「げ!!うまっ!!」といきなり引き込まれます。

 なにより、みんなすごく楽しそうに演奏しているのが漏れ出ています。

 この うわぁ~♪ という感覚、何度味わってもたまらんです。

 演奏が良いのは、まぁ当然として、今回のライブで特筆すべき事は、PAが素晴らしかった事です。

 席の場所が良かった というのもあると思うのですが、全てのバランスが完璧。

 音質も良いし、文句なし。

 

 お目当てのGambale先生のギタープレイは、、、余りにも鮮やかすぎて、逆に凄さが感じられないというか、、、。

 軽い歪系の音で、しかもPAが良くギターがえらいデカく聞こえる という事も無く、あまり目立たない。

 普通に見ていたら、とんでもない事をしているという事にさえ気が付かないくらいさり気無く 「ドゥララララ ララララッ」と上から下まで弦を掃きまくっています。

 余程のお掃除好きと見ました。

 余りにも綺麗にあっさりと、とんでもない事をやっているのを見て、笑ってしまうくらい。

 終始運指もピッキングも最小限の動きで、指板の上でなにやらゴニョニョしているようにしか見えず、、、、全く派手さもなく、、、もうちょっとバーンと目立ってほしかったような気もしました。

 でも、それがGambale先生のシブいところなのでしょう。

 それにしても、ほとんど指動かしてないんじゃない?と思えるピッキングとフィンガリング。

 今まで何度か有名なギタリストの演奏を間近で見た事がありますが、その中でも無駄の無さ、スムーズさはトップクラスに思えます。

 うーん、素晴らしい。。。

 

 そうこうしているうちに、ライブは終了。 

f:id:mata1:20160921165746j:plain

 アンコールに入りました。

 ChickCoreaが暫く話をした後、一人の女性が紹介されてステージに上がってきました。

 ラストネームがCoreaだったので、奥さんなのかなぁ? と話していたら、どうやら彼女のVocalで一曲演奏する様です。

 「そんな昔みたいな声、出ないんじゃないかなぁ?」と言いながら歌い始めたのですが、話している時とは全く別人、ものすごい綺麗な高音を聴かせてくれました。

f:id:mata1:20160921165752j:plain

 開場はヤンヤヤンヤ、スタンディングオベーションです。

 そして、その後 更にChickCoreaが「今日はもう一人紹介したい人が居ます、私の兄弟が来ています。」と言い出しました。

 促されてステージに向かってきたのは、なんとHerbie Hancockでした!

 これには場内も大騒ぎです。

 そこから、ChickCoreaとHarbie Hancockの二人でソロの応酬があり、その応酬は観客も巻き込んできます。

 Chick Corea のソロ→観客がフォロー→Harbie Hancockのソロ→観客がフォロー が始まります。

 会場もステージも一体になって盛り上がり、その後そのままアドリブで曲に入っていきました。

f:id:mata1:20160921165756j:plain

 メインのメロディーは無いものの、コード進行ですぐに「Spain」とわかりました。

 この時二人の演奏に加わっていったJohn Petitucciの演奏が凄く良かったです。

 本当に楽しそう。

 私個人の感想ですが、彼はソロを弾いているときよりも、バッキングの時の方が遥かにカッコよかったと思います。

 バッキングの時のノリとベースラインは本当に良かった。(ソロが悪いと言っているのでは無いです、決して)

 

 大盛り上がりでライブは終わりました。

 

 さてさて、私にはライブの後に大きなミッションがありました。

 20数年前、まだ日本にいた時にFrankGambaleの音楽を勧めてくれた親友のDai君。

 今回のライブに行くことが決まった時、Gambale先生を間近で見られるかも という事をすぐに知らせました。

 すると 「CDのジャケットにサインをもらってくるように」と指令が出ました。

 この会場は、演奏を終えたミュージシャンが、そのままBarで飲んだり、観客と話したりするので、サインをもらえる可能性が凄く高いのです。

 ところが、この日はスケジュールが押していたのか、皆サーーッと楽屋に引っ込んでしまいました。(この後、2ndセットが控えていました)*2

 ヤバイっ、サインもらえないかも と思いながらも楽屋のドアの前で様子を伺ってましたが、誰も出てくる気配が無い。

 自分だけならアッサリ諦めたのですが(自分もサイン貰う気満々でCDを持って行っています)、「サインもらってこないとヒドイぞ!」と脅されているので(ウソ)、しばらく粘っていました。

 そうしたら、神様Dave Wecklが楽屋から出てきました!

 TKさんがすかさず彼に話しかけサインをもらったりしている時、開いたドアから直ぐそこにGambale先生が居るのが見えます。

 そして神様が楽屋に戻るとき、その隙間からTKさんが先生に声をかけてくれました!!!(グッジョブ!!!)

 すると、「え?サイン、おーーー、じゃそっちのテーブルで。」と先生が出てきてくれました!

 そしてBarのテーブルでササッとサインをしてくれました!!(ジャケットの表と、中の自分の写真の所と2か所も)

 感激してお礼を言った後、「日本にいる友達が貴方のファンなので、彼の分もお願いできますか?」と訪ねてみると 

 先生「もちろん!!彼の名前は?」

 私 「Daiです」

 先生「D.A.I.?」

 私 「ハイ、そうです」(めちゃくちゃ緊張しております)

 とやり取りした後、サインと、彼の名前を書いてくれました。

f:id:mata1:20160921165915j:plain

 ( Yes!!! mission complete! )

 

 さて、その日私は どのCDにサインしてもらうか、決めかねていたので、他にもCDのジャケットを持っていました。

 更に当日の物販でもChickCoreaElektricBandの「Inside Out」のCDを買って持っていたのですが、それを見て先生は「まだあるやん、全部かし」と言って、持っていたCD全てにサインをしてくれました。

f:id:mata1:20160921165923j:plain

 ヤバイ、良い人過ぎる、、、。

 その後も、チョットだけですが音楽の話をする時間も作ってくれました。

f:id:mata1:20160921165858j:plain 

 (写真はTKさんが撮っていてくれました)

 ムチャクチャいい人で、その事にも感動です。

 やり取りを見ていたTKさんも「むっちゃくちゃナイスな人ですね!!」と先生への好感度はかなり上がっていたように思います。

 別れ際に「また聴きに来てね!」と言ってくれたのですが、そら行きますよ!!

 今度は彼のバンドのライブを聴きに行きたいです。

 

 この後、「Inside Out」のジャケットに、John PetitucciとEric Marientalからもサインをもらう事が出来ました。

f:id:mata1:20161001161546j:plain

 残念ながら、Dave Wecklと大神様のChickCoreaからはもらえなかったのですが、それはまた次の楽しみに取っておきます。

 

 音楽は生に限る と良く聞きますが、ライブで何に一番感動するか。

 私は良くも悪くも目の前の人の状態に引っ張られる事が多いです。(誰でもそうかな?)

 目の前の人が怒っていると、こっちもイライラしたり。

 哀しそうにしていると、こっちも悲しくなったり。

 楽しそうにしていると、こっちも楽しく、ワクワクしてきます。

 そして、目の前で楽しそうに演奏している人を見た時に感じる、ワクワクや楽しい感動が私には格別なのです。

 音や演奏の質よりも何よりも、その幸せ感を味わえるのがライブの一番の楽しみです。

 その一番を沢山与えてもらった素晴らしいライブでした。

 

 追記

 TKさんが調べて教えてくれたのですが、ライブの時に綺麗な歌声を披露してくれた女性は、Gayle Moran Coreaという方で、やはりChickCoreaの奥様で元々シンガー・ソングライターでした。

 道理で歌が上手いはずです。

 そして、ChickCoreaが終始話しかけていた女性は、なんとJoni Mitchellでした(!)

 という事は、、、

 そこにはHarbie Hancockも居たのですから、私たちの後ろのテーブルは物凄い事になっていたみたいです。

*1:スウィープはピックで弦を掃くように弾くテクニックで、正確なフィンガリングや正確なミュートを高速で移動するピックに合わせる、難易度が高いテクニックです。彼の技術力の高さには定評があり、多くの教則DVDを出していたり、実際にミュージシャンの学校の講師を務めたりしたこともあるので、先生と書きました。実際に私が教わったことがあるという事では無いです。

*2:ChickCoreaだけは、演奏が終わると、次の開演までの間、最初に話しかけていた車椅子の女性とずっと話をしていました