模型じかけのオレンジ

模型制作記を中心に、趣味の工作関連、車、オートバイ、その他色々についてロサンゼルスの生活事情と合わせて綴っています。

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追加工作の基本なのに とても難しい「スジボリ」

 こんばんは。

 

 またまた前回のアルカディア号制作記に、作業工程へのコメントを頂きましたので、補足記事をアップします。

 

 プラモデル制作で、基本的な追加工作の中に スジボリを追加する というのがあります。

 スジボリというのは、プラモデルの表面にあるパネルラインやその他のディティールを表現する為に付けられている凹モールドされた線です。

 

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 本来装甲の継ぎ目などは、縮小してしまえばモールドされるほど開いているものでは無いのでしょうが、そこは模型的なディフォルメでそれっぽく見せるための演出と言うことになるのでしょう。

 スジボリも何も無い平らな面があると、間延びした感じに見えるときや、設定画や劇中で確認できるラインがキットでは省略されている時等は、モデラーがそれを自分で彫って追加することがあります。

 

 それ以外でも、金型の分割線や、パーツを接着した跡を消すために、ヤスリがけをするとき、スジボリがその線を跨いでいる時は、ヤスリがけで一緒に消えてしまいます。

 そんな時も、追加するときと同じように、消えたスジボリを彫りなおして復活させます。

 

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 上の写真で、主翼の先端の部分には、赤いラインに金型の分割線があったので、ヤスリで段差を消したのですが、同時に白矢印の所にあるスジボリも消えてしまったので、彫りなおしてあります。

 

 そんな訳で、スジボリというのは、追加工作の中でも基本中の基本と言えると思います。

 が! 

 基本中の基本なのに、すごく難しいんです。

 少なくとも私にとっては。

 

 ちょっと油断すると、すぐに ギ と横に反れたり、太さが揃わなかったり、上手く2本の線が連結しなかったり。。。

 実はかなりの工作精度を要求されます。

 

 実際、アルカディア号でも、船体の横に4つの窓を発光させる工作をしましたが、本当はその窓はスジボリで囲まれる予定でした。

 でも上手く出来なくて、「なんでも制作日記」のkenjiさんに、スジボリどうやったら上手く出来るの?? と泣きながらメッセージを送ったくらいです。(結局上手く出来ないので、諦めて彫ったスジは全部埋めました)

 

 スジボリに使う道具 と言うのも、一般工具を使ったり、それ用の専用工具も色々な種類が出ていたりするので、スジボリに苦労しているモデラーは、やっぱり多いんじゃないかな と思います。

 

 私の手元にあるものでスジボリに使われるのは。

 P-カッター。

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 アクリル板やプラ板を切るときに使うカッターで、引っかいて傷をつけ、それを何回か繰り返して溝を掘り、エイッと割って板を分断する為の専用カッターですね。

 元々が溝を掘る工具なので、コレを使うモデラーは多いと思います。

 

 コレも良く使われるであろう、ケガキ針。

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 私が持っているのは、金属工作をする時に使うケガキ針で、シャーペンみたいに頭(お尻?)をノックすると、硬質の針が出てくるタイプです。

 アルミなんかには普通に線が引けるくらい硬いもので(鉄にも引けます)、試しにプラモデルに使ってみたら、なかなか使い勝手が良かったので、いつの間にかガレージから模型机の方に移動してきて、私はコレをメインに使っています。

 

 他にも、一般的なオルファ等のカッターの峰を使って彫る という人も居るみたいです。

 

 最後に、これはスジボリ専用工具になるのですが、ラインチゼル と言う工具。

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 見た感じと使い方はP-カッターと似ているのですが、違う点は、P-カッターは刃の断面がV字になっているので、深く掘れば段々筋の幅が太くなっていくのに対して、ラインチゼルは断面が四角いので、何処まで彫っても溝の太さは変わらないです。

 名前がチゼルというくらいですから、カッターでは無く、ノミやタガネに分類される工具ですね。

 

 P-カッターの刃の形状

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 ラインチゼル

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 断面の違いで、彫れる溝の形状も変わりますから、これは好みが分かれる所でしょう。

 スジボリに墨入れをする場合はV字溝の方が底面に行くに従って細くなっているので、毛細管現象を起こしやすく、実際の溝よりも細く見えそうな気がします。

 凹型の溝は、エッジがシャープに出るので、カチッとした感じが出せます。

 その状況に応じて使い分けるのが良いのかも知れませんね。

 

 スジボリを彫る時に、いきなりフリーハンドで彫れるのは相当の腕の持ち主だと思います。

 普通は何かガイドになるものを使いますが、私が一番使うのは、ダイモ・テープです。 

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 その昔、今で言うところの「テプラ」として使われていた、道具に装着して使うテープで、材質は硬いビニール? 見たいなものです。

  これを定規として使うのですが、何年か前に帰国したとき、大手家電量販店の模型コーナーを見に行ったときに、そこで売っているのを見つけました。

 昔ながらのダイモを使う人なんて、もうあんまり居ないかもしれませんが、テープの方は模型業界の方で生き残っているんですね。

 

 昔のレース・カーとかのコクピットで、トグルスイッチがズラッと並んでいるところで、スイッチの下に「IGN」とか「PUMP」とか打ってあるダイモが貼られているのが すごくカッコよく見えたのですが、もうそういうのも無いんでしょうね。

 

 パーツにスジボリたい所に、適当に切ったダイモを貼り付けて、後はゆっくりとカッター、チゼルや針を引いて、先ずは軽くアタリをつけます。

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 ある程度溝が彫れてくると、テープを外してもラインが外れることも無いので、後は必要な深さまで掘り進めます。

 

 私がスジボリにケガキ針を良く使う理由は、P-カッターやチゼルは刃の幅があるので、彫る直線に対して刃が曲がると、舵を切るように刃物が横にずれそうになります。

 ケガキ針は刃が丸いので、進行方向に対して角度が変わっても、引いた方向に進んで行ってくれます。

 ほかにも、ガイドに使うのが軟らかめの樹脂であるダイモなので、P-カッター等ではガイドまで削ってしまいますが、針は側面も角が無いので、ガイドとの滑りがよいです。

 

 さて、本題です。

 今回、薄い翼に溝を掘って光ファイバーを埋めるのに使ったのが、ラインチゼルでした。

 

 0.3mmの厚みのチゼルを持っていたので、それでスジボリを彫る時と同じ様にして溝を掘っていきました。 

 厚みが0.55mmの所に0.2mmのファイバーを埋めたいので、余裕は0.35mm。

 それをファイバーの左右(前後)に振り分けるので、片側0.175mmの余裕しかありません。

 パーツの厚みがそれくらいになるまで溝を掘るのですが、どうやって測ったかというと、、、

 目分量です。(出た!)

 蛍光灯に透かしながら、ギリギリまで掘り込み これ以上はちょっと怖いな という所まで行ったら、実際にファイバーを嵌め込んで、ファイバーの上にパテで溝を埋める程度の余裕があれば大丈夫 という感じです。

 

 と言う訳で、実はスジボリを彫るのと同じ方法で、パーツの厚みギリギリまで掘り込んだだけ で、特別なことは何もしていませんでした。

 

 本当は先の記事に追記として書き込もうかと思っていたのですが、書き出してみたら、物凄い長い文になってしまったので、別にアップしました。

 長文最後まで読んで下さってありがとうございました。